Love.Love.Loving!

気づけば瞳から零れ落ちる大粒の涙。ぼろぼろと止まらないそれは頬っぺたに添えられたままの希唯君の手を濡らす。

目の前でいきなり泣き出したあたしにギョッとして焦りを浮かべた希唯君が、「な、泣くほど嫌だったの!?」ちょっとショックを受けたようにそう言って、指で涙を掬い拭ってくれる。

そんなさりげない希唯君の小さな優しさに――あたしの中のわだかまりが、醜さや恐れが一本の脆い糸を切って爆発した。

言葉で希唯君を傷つけ、自分を守る。


『――っもう、触んないで!』


涙を拭ってくれている手を掴んで、無理矢理そこから引き剥がす。

左を剥がせたら、今度は右。頬っぺたに触れるものがなくなったら、あたしの言動に呆気になっている希唯君を目一杯睨み付ける。


あんな思い――いつも一人で寂しくて、周りの人たちの視線が、〝人〟が怖くて怯えて、息もできないほどのあんな絶望的な思いはもう、したくないの。嫌なの。

だから、解放して。


あたしは希唯君が嫌いで、大人な〝あの人〟が好き。

希唯君はあたしのことを好きだと言うけど、それは嘘で。指輪をずっとはめたままだから本当は彼女さんが好き。

それで何事もなく万事解決、でしょ?
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