Love.Love.Loving!
『(ん、な…っ!?)』
なにを言い出す。可愛い顔したチュッチュッねずみ王子。
そんなの知ってるはずがない。そもそもエッチな表情なんかしてないし!エッチなのは希唯君の方だもん!
相変わらずエッチな表情で見下ろしてくる希唯君をキッと睨む。そしたら希唯君はなぜかふんわり笑い出して。
頬っぺたに添えられた手の指が涙を拭う。
「怒んないで?仕返しでちょっと意地悪しただけだから」
ね?なーんて、可愛く笑顔を浮かべて小首を傾げた希唯君。に、あたしは一瞬時が止まったような感覚を覚えた。
『(仕返し、で、意地悪しただけ…?)』
そのセリフの意味って――…。
それじゃあキスしたのはただの意地悪ってこと?好きだなんて言っておいて、それも結局は嘘で。あたしはただの遊び相手だった…?
…ああ、そうか。
元からあたしなんかが彼女がいて、学校の王子様で。そんな希唯君に本気で相手にされることなんてありえなかったんだ。
あたし、ほんとにバカだ。
『…っ、』
ドキドキも。ファーストキスも。少しでも希唯君に流された気持ちも。全部全部返してよ…っバカ野郎!!