ホワイト・メモリー
「百人で行う伝言ゲームと、十人で行う伝言ゲームとでは、後者の方が言葉を正しく伝えることができます」

机に肘をついて身を乗り出していた塚越は、スーっと鼻から息を吐きながら、再び椅子にもたれて腕組みした。

「つまり媒介するものが少なければ少ないほど情報は正確に伝わります」
「それは要するに仕事は少人数でやった方がうまくいくっちゅうことか?」

関西弁の疑問形は少々身に堪える。言葉に詰まりながらも功は説明を続けた。

「情報を処理するのが意思を持たない機械ならばおっしゃる通りです。システムやアプリケーションがたくさんあって整理されていないと情報は混乱します。つまり、情報の正確性という意味では情報は一箇所にまとまっていた方がいいということです」
「その通りだ」

今まで口を開かなかったCIOの横峰が同調した。功は横峰に軽く頭を下げ、さらに続けた。
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