高熱にベッド<短&番外>
私と電話の向こうの永樹さんのやり取りを黙って見ていた伊勢君が、私に口パクをする。
『(彼氏?)』
私は照れ臭さで少し躊躇ってから、ほんの少しだけ首を縦に振った。
すると伊勢君はそっか、と悲しげに笑ってトイレの方に去っていった。
「………?」
やっぱり、トイレ行きたかったのかな。
『ねぇ、明日那子ん家行っていい?』
「べ…別に大丈夫ですけど…」
急に話が飛んだ。
相変わらず何を考えているか分からないが、明日は特に用事もないので了承した。
『じゃあ明日覚悟しといてね』
「え!?ちょ!永樹さん!!」
意味深な言葉を囁いて電話を切ってしまった永樹さん。
真っ赤になって心拍数を上げてしまう私は、言葉の意味をちゃんと理解していて。
頭で想像して、直ぐに頭を振って考えを消す。
ドキドキを押さえるために深呼吸をして、平静を装って部屋に戻った。
……明日何が起きるんだろう。
振り払った考えは、自分が思っていたより全然振り払えてなくて、私の頭は永樹さんの言葉と、その裏に隠された意味とで、支配されていた。