ヒトノモノ


啓介が帰ってから、いつもより啓介の残り香がする部屋で余韻に浸る。




啓介、帰宅してから奥さんにどんな話をするんだろう?




奥さんは啓介を責めるだろうか・・・?




啓介の首もとの印に気付くだろうか・・・?




それとも、お互い顔を合わさずに過ごすだろうか・・・?





あたしの存在が知られるのも時間の問題・・・




知られる恐怖なんて全くなく、ワクワクする・・・




人の家庭を壊そうとしているのにこんな感情を抱くなんて・・・








啓介がココを出てから1時間が経った。




もう帰宅してる頃だろう。




そう思った瞬間に携帯がバイブした。





【今着いた。さっき別れたばかりなのに、もう優子に会いたくて仕方ない。優子を抱きたくて仕方ない。】




帰宅してから啓介からメールが来たのは初めてで。




啓介の中で、何かが変わり始めたのがよくわかる。




【あたしも啓介に今すぐ会いたい。】





あたしはそう返信して、そのまま眠りについた。





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