年下彼は手強いのです,

「俺、真尋と同じ高校に入るつもりだから」

「えっ、本当に?」


あぁ、とにこやかな笑み。わたしもつられて笑ってしまう。


「だから、浮気せずに待ってろよ」


「うわ…しないよ。すみれの種植えて、待ってるから」



そういえば。わたしはフッと降りてきたすみれの花言葉のもうひとつを口にする。


「登駕、すみれのもうひとつの花言葉わかる?」


「え、いや。すみれもググっただけだしな」




「――無邪気な恋とか…愛」




言えばさらに顔を赤らめた。そして髪をくしゃっと撫でつけられる。



「不意討ちとか、卑怯」




空はスカイブルー。校庭には桜の花びらが舞っていて。


屋上には一足早い、春の風がふたりの髪を揺らした。


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