変人執事とツンツンお嬢様
「弥呼さま」
「っ……」
すぐに目を反らし、鏡だけを零慈くんに向ける。
ドクン ドクン とうるさく鳴る心臓。
……どうすればいいんだ。
情けないような
やるせないような気持ちになる。
そのまま、固く目を瞑ると
「…いけませんよ、弥呼さま」
「ひゃっ…」
鏡を持っていた手を後ろから掴まれ、動かされる。
革の手袋はいつも冷たい。
そう感じるのは、私の体温が高くなっているからか。
「そんなに恥ずかしがらないでください。わたくしはただの執事です。」
「れ、ぃじ…く…」
今度こそぴったりと視線が絡む。
まっすぐでくすんでいない瞳が、私に向かって細められた。
「そのように赤いお顔を見ると、わたくしまで照れてしまいます。
……ですが、」
グッと彼の香りが近くなる。
執事の手は、私の耳に触れ
「今だけは、わたくしを見つめていていただけますか?」
息をも耳に触れさせ、そんなことを言った。
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