AZZURRO
「僕はカヴァリ・ムラド。
第三皇子だよ。」


ムラド…?
クリス様と同じ姓…

「じゃあ、クリス様とはご兄弟ですか?」


「うん。
でも僕は皇帝陛下の側室の子だから…
異母兄弟で、身分も低いけどね。」

視線を落とすカヴァリの姿に
雪乃はまずい事を言ってしまったと焦る

「ですが
その立派な翼は、皇帝陛下やクリス様と同じ…
とても高貴なお方の証明かと…。」


「ふふ…。
ユキノは面白い事を言うね。」

カヴァリに笑みが広がる

その表情は
確かに皇帝陛下に似ていた

皇后陛下によく似た銀髪の第二皇子
皇帝陛下によく似た金髪の第三皇子


正妃の子と側室の子…

そこには
きっと計り知れない苦労があるのかもしれない…

どこか儚げなカヴァリの姿を見ていると

そう思わずには居られなかった
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