AZZURRO
朝食の席には
既にクリスが食事を始めていた


「おはようございます。」


「おはよう。
良く眠れたか?」


雪乃の挨拶に
目を細める
アルヴェス帝国第二皇子
クリス・ムラド


純白の翼はしっかりと畳まれ
流れるような銀髪は
朝日に輝いている


いつみても
神々しいその姿に
雪乃は未だ慣れない


いつの間にか
雪乃の定位置となった
クリスの隣に腰を下ろす


この世界での雪乃の身分は
帝国第二皇子の側室

雪乃が異世界からいたというのは
側近たちしか知らないため


周りの人間は
雪乃を貴族の姫君だと思っている


たくさんの人が
自分に仕えてくれる生活


これは本当の私じゃない
と思っていても

ときどき
この生活を
この身分を
当たり前のように感じてしまう

自分がいる

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