AZZURRO
しばらくして
ロープは焼き切れ
雪乃は素早く自由のなった手で
足の拘束も外し

静かに立ち上がった

口にかまされていた
布を取ると
やっと新鮮な空気を吸える気がした


よしっ!

ここから出よう


雪乃は男たちが寝ているのを確認して
忍び足で入り口のドアを開ける

そして
外に飛び出した

目の前に現れたのは
うっそうと生い茂る林だった

ここどこ!?

カイルじゃないの??


一瞬不安がよぎったが
遠くの空に城が見えて
雪乃は城の方向へ駈け出した


ここがどこかわからない

それでも
城があるってことは
やっぱりカイルだ

だったら
城まで走ればいい

きっと
クリス様やみんながいる

道なき道を
ただひたすら走る

途中
ドレスの裾が枝に引っかかり
ぬかるみやコケに足を取られたが
雪乃は構う事なく走り続けた


その時


「待てーー!!」

「逃げられはしないぞ!」


後ろから怒号が飛んでくる

やばい!
アイツら起きたんだ!!



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