magnet
そして。どうしてこうなったのか。
目の前には至って普通のクリーム色の二階建ての家。手には昨日借りて早急に洗い済みのパーカーと風邪の時のお供のスポーツ飲料とゼリー。
どうしてこうなったのだろうと、また疑問に感じる。
子供じゃないんだからさ、私が行かなくてもよくない?
『彼女でしょ!お見舞いするの!』
背中押されてようやくくる彼女ってどうなのだろうか。もう行動力がある愛架が彼女でいいんじゃないのだろうか。
「……それは困るな」
独り言を言いながら、せめて少しくらい見舞ってやろうとインターホンを押した。
が、数十秒経っても足音1つ聞こえない。
もう一度押しても電子音だけが軽快になるだけだった。
寝てる?
首を傾げたとき、カチャリと鍵が開くとき特有の音がした。