magnet


そう思っていても、誰かが側にいると落ち着くのは事実だった。けれど。


「相原さん……湊……って……」


断片的に聞こえてくる声。


「……」


どうせくだらない噂をしているのは分かっているけど思わず足を止めてしまう。


「心菜」


「今行く」


「なのに……」


めんどくさい。めんどくさい。


別れたとか、そんなの言わなくてもいいのに。


人の事ばかり。人の事ばかり話して楽しんで。


気にしなくてもいいのに、些細な事でさえ気になってしまう。


あの日から私が私じゃなく、不安定だ。いや、今までずっと不安定だったのかもしれない。それを隠していただけ。





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