magnet


気だるそうな、何処か心配したような目。


普段そんな目もしないくせに。


「何が?」


「私に構わなくてもいいよ」


今度は廊下のざわめきでも十分に聞こえる声量で話す。


ちゃんと、いつもの聞きなれた自分の声。


「同情とかで構ってると思ってる?」


側にいてくれると落ち着くくせに、行動で態度で示せない。自分でもひねくれてると思う。


なのに、上手くいかない。


コクリと頷いてしまった。


次第に腕を掴んでいた力は緩まっていく。


それに応じてダラリと腕が力なく落ちた。



< 173 / 215 >

この作品をシェア

pagetop