magnet
気だるそうな、何処か心配したような目。
普段そんな目もしないくせに。
「何が?」
「私に構わなくてもいいよ」
今度は廊下のざわめきでも十分に聞こえる声量で話す。
ちゃんと、いつもの聞きなれた自分の声。
「同情とかで構ってると思ってる?」
側にいてくれると落ち着くくせに、行動で態度で示せない。自分でもひねくれてると思う。
なのに、上手くいかない。
コクリと頷いてしまった。
次第に腕を掴んでいた力は緩まっていく。
それに応じてダラリと腕が力なく落ちた。