magnet
「……」
ああ、でも……
不安にはなってるけど、愛架の言ったことは事実なのかもしれないとぼんやりと思う。
気が付けば会ったらどうしよう、何言おう、とばかり考えている自分がいた。
真理亜ちゃんが去って、数分かそれ位立ってから動き出したが、まだまだ考えが尽きない。
そうして。考え事をしていたから悪かったのか、酷いこと言ったツケが回ってきたのか。
「うわっ!?」
「っえ……」
階段を上り終える直前、肩と肩がぶつかり後ろに倒れる体。どうしても力が入らず、踏ん張りが効かなくて重力に勝てなかった。
落ちる……?
そう思ってる瞬間はやけにスローで、相手の驚く顔が鮮明に見えた。
ギュッと目を閉じるのが早かったか、全身から力が無くなるのが早かったか。とにかく目の前が暗くなった。
「先輩!!」
直前に聞こえた声は、きっと想い続けていた結果の幻聴なのだろう。きっとそう。そうに決まってる。
馬鹿だな。私。こんなにも朔を――……