magnet
「はい。じゃあ次の話ね」
「次?」
まだ何かしたのだろうかと不安になる。
でも、全く身に覚えがなくて首を傾げるしかなかった。
「只の個人的な内容なんだけどね、湊くんとちゃんと話をしてほしいの」
「……?」
話をしようとは決めてるけど、どうして先生にも言われなければならないのだろう。
そもそもこの口振り、大体の事は知っているかのような。
「ある子がね、よくここにきて学校の生徒事情を話してくれるのよ。最近は湊くんの話をしてくれるわ。元気が無いとか、酷い事をしたって言ってたとか。色々ね」
「そう、ですが」
「さすがにここまで干渉しちゃ駄目かしら?とにかく。納得いかなくて元気を無くすくらいなら、ちゃんと納得できるようにしなさい。って事で」
そう締め括ると「私は少し出るけど、居たいだけいなさい」と付け足した後、白衣のポケットに手を突っ込み私に背を向けた。