magnet


走って走って今は休息タイム。自販機の飲み物を口にしている。


私がお金を持っていなかったためか、不本意だが湊が奢ってくれた。


「さすがに、喉が乾くのは分かるので俺だけ飲むのは……それほど鬼畜じゃないです」


とかなんとか。


意外といいやつなのかと思いながらチビチビとオレンジジュースを飲んでいた。ちなみに隣に座る人はサイダーを飲んでいる。


「それにしてもよく壊せたよね」


「この学校老朽化が激しいから物が壊れやすいんですよ」


「どうするのあれ」


「先輩。秘密にしてくださいね。二人の秘密です」


「……」


反論しようか、どうしよか、と悩んでみたが結局コクリと頷いた。


代わりに、帰りに学校の為の募金箱にいくらかをつぎ込んでおいた。


次の日。


「昨日、資料室の扉が壊されていた。誰かは問い詰めないそうだが物は大切に」


「……」


怖くて先生の顔が見れなかったのだった。





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