magnet
そんな中に大人しく収まる筈もなく、力の限り押し返す。
「何で大人しく抱き締めさせてくれないんですか?」
「今は無理だから」
「無理とか訳わかんねぇんですけど」
「そこは分かってよ」
「教えてくれるって言ったじゃねぇですか」
「それとこれとは別」
無理だの何だの言ってる間、少し前に戻った気がしていた。
言い合いをするのでさえ、懐かしく思うのは相当末期だろう。
なんにせよ。とりあえず今は朔に近寄りたくない。悪い意味ではない。
だけど、私の力ない力じゃ抵抗も限界がある。
「っ!」
結局の所、再び腕の中に戻されたのである。