magnet
試合が終わると皆一様に汗だくで湊もその例外ではなかった。
愛架に言わせれば、「汗をかくのは青春だよ」との事だ。
私にすれば青春云々はどうでもよくて、頑張って凄いな。くらいだ。もちろん尊敬の意で。
湊を目で追えば、暑そうに襟元をパタパタさせ、次に裾をパタパタ。
そうすれば隠れた肌が見えるわけで、程よく筋肉がついているわけで、愛架はそのチラリズムが好きなわけで、黄色い歓声を上げるのは当然だ。ついでに言うなら下からもチラホラ聞こえていたりする。
私にはよく分からない。よくやるよ、と思いながらその光景を頬杖をつきながら見ていた
。
「せんぱーい!見てくれましたー?勝ちましたー!」
そしたら、ブンブンとこちらに手を振るものだから反射的に愛架を巻き込んで屈んだ。
屈めば落下防止用の壁のお陰で下からは姿は見えない。
あそこで姿を晒すのは何故だか危機感を覚えたのだ。