magnet


ふぅ。と息を吐いて壁にもたれ掛かるように座る。


「やー。ビックリしたよ。でも、今の判断は懸命だったね。多分あのままだと女の子にフルボッコかトゲのような視線に刺されただろうね」


ゾクッと悪寒が走った。なるほど、あの危機感はそれか。直感も馬鹿に出来ないな。


私は女の子ほど怖いものはないと思う。団結力とか。仲間意識みたいなのとか。もっとサバサバいければいいのに。


何とも言い表しにくい気持ちになっている私を他所に愛架は壁からちょっとだけ顔を出していた。


「んーーっと。この様子だとあと一時間強くらい湊くんの試合はないね」


全学年だから当たるまで時間が掛かる。時間制であるバスケなら尚更。


どうせなら自主参加くらいの勢いにしてくれればいいのに。


「よし。ソフト見に行こう!」


「えー……」


段々動く事すら嫌になってきている私を構わずズンズンと歩いていく。


もはや数十歩単位遅れて体育館からグラウンドに移動した。





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