magnet


とは言え、仁はあんなだけど球技大会には参戦なようですぐに何処かに行ってしまった。


仁は自分の所在を簡単に教えたがらない変な人なので、無論何に出るかは教えてもらえなかった。


何故私に声を掛けたんだろう?と思いつつもひとしきり見たら体育館に戻った。卓球には
興味あるのかないのか遠目から眺める程度。別にいいんだけどね。


またもとの二階に足を踏み入れた。


「あ、三条先輩だ。あの人すごい優しいよー。この前ぶつかってみたら手を差し出してく
れたんだよ」


「へー」


「おお、皆川さん。相変わらず美脚で羨ましいなー」


「だねー」


「……今思ったんだけどさ、心菜って湊くんの前以外なんて言うんだろ……ドライ?クールだよね」


何を思ったのか体育館全体を見つめる視線をそのままに言った。


「それは湊がムカつくからだと思う。あと球技大会に飽きてきたよね」


「喧嘩するほどなんとやら?」


「違うよ」


喧嘩するほど仲が悪い。くらいのレベルだよ。それくらいまで到達しちゃってるよ。


だから、仲良くなりたいなんてミクロ程にも思わない。





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