magnet
保健室にて私は暫し立ち尽くしていた。
仁は一気に気だるくなったのか運ぶや否や出て行き、愛架は「相手をよく知ることも必要だから話したらいいよ謝りついでにでも」と言って出て行った。
つまるところ、私と湊を二人きりにさせたいと言う事がよくわかったのである。
一応残ると決断を下したのは私だけどそれでも気が進まない。
それでも、短く息を吐いてベッドの側に寄るとタイミングよく目を開いた。今起きたと言うより少し前には起きていた感じがするのは気のせいだと思いたい。
「先輩……吐き気がします」
「いや、うん。でもちゃんと言ったでしょ『何があっても知らない』って」
「まさかこうなると思いませんでした」
腕を目に乗せて呟く。
そこまで辛いのか。と反省少々。
何を言うべきか。と悩んでいるとまた湊が口を開いた。
「――先輩。俺の事嫌いですか?」
前触れなく、突拍子もない。それにそれはこっちの台詞だと言いたい。でも答えは分かっているわけだからそれを前提で言葉を作った。
「湊も私もお互いが嫌い。それはずっと変わらないんじゃないの?」
嘘ついたようなそんな感覚がした。