magnet
これは演技だ。嘘だ。私を陥れようと思ってるんだ。
自分に言い聞かせてキッと前を見た。
「湊くんはいつからそんな小細工出来るようになったの?」
「女の子はギャップに弱いと聞いたからやってみました。別にオトすつもりはミクロほどもねぇですけど」
口を開き掛けて閉じた。さっきも愛架が言ったようにそろそろチャイムが鳴る頃合いだ。
不本意だが、ここは私が会話を打ち切りにする事にした。
自分を落ち着かせるために、一度大きく息を吐いた。
「じゃあ、もう一生会いたくないけど」
スタスタと隣を横切る。
「もう、心菜は!またね、湊くん」
愛架も私に続いてそう言い隣に並んだ。
なんて挨拶の差だろうか。
まぁ、それも仕方のない事。