magnet
そう言えばすんなり話を聞いてくれると思っていた。
「嫌です」
けど一筋縄じゃいかないらしい。
「何で」
「ここちゃん先輩怒りそうな顔してます」
「だってそんな感じの話だから」
「それを分かっているのに話を聞きたくないです」
「どうすれば聞いてくれるの」
「どうあっても聞きたくねぇです」
「聞いてもらわないと私が困る」
「勝手に困ってればいいと思います」
ラチがあかない。聞いて聞かないの一方じゃ当たり前だ。
どうするかと暫く考えて、一度下げた視線を再度湊に上げると私はこう言った。
「――分かった。じゃあバスケ勝負して私が勝ったら聞いて」