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どうしてこんなことになったのだろう。冷静になっていればこんな事態は怒らなかった。
頭に血が上っていた証拠。本当に調子が狂う相手だ。
とは言え、言ってしまったものは仕方がないのでやるしか選択肢は残されていない。
「じゃあ、ルールは単純で、昼休み中に俺からボールを取れば先輩の勝ち。取れなければ俺の勝ちです」
「それだけ?」
「それだけです。――でも、先輩は俺からボールは取れないと思いますけどね?」
意地悪く笑って、もう勝ち誇ったような顔。
私は制服の袖を捲って気合いを入れた。
そんな表情を浮かべることができる自信が何処からくるか分からないけど、簡単じゃないの?
正直、私から勝負を投げ掛けておいて何だけど、ゴールにボールを入れるとかって言われたら絶対に無理だった。
でも、これなら……
「絶対勝てる」