magnet


それは出向いて4日目の日。


「あ、湊」


「え?あ、うわ。先輩……」


「何々ー?湊くん今何か隠さなかったー?」


「あ!」


後ろ手に隠されたものを愛架は奪った。


許可もなく隠した物を盗るのは止めた方がいいよね。私も気にはなるけどね。


奪ったものはプリントらしく、ひょいっと覗き込む。これ、一年生の時愛架が持ってたのを見たことがある。


「数学の赤点プリント……!」


この世の終りのような顔をして素早く私に押し付けてくる。


そうだ赤点取ったらくれるプリントだ。所狭しと問題があって気持ち悪かったからこれはちゃんと覚えてた。


「あぁ。つまり、前のテスト赤点……」


と言った所で手元からプリントが無くなった。



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