magnet
首を傾げながら表情を見ようとするもうつ向いていて見えない。
「何考えてる?」
「――先輩の事」
私、の事?
「っ――。そ、そう、何か照れるな。うん。今までじゃ絶対に聞けない答えだったから嬉しいな。私帰るね」
一気に言って早足に教室を出た。
驚いた。驚いた。
深い意味は無いんだろうなと思いつつも真剣な雰囲気に戸惑う。
『嬉しいな』
何も考えずに口から出た言葉を思い出した。
「嬉しい……」
そうか。私は嬉しいのか。鼓動、まだ早いや。
「どういう意味で言ったんだろ……」
気になって。気になって。
こんなの……