magnet
教室の一角に集まる5人。少し密集しすぎなんじゃないかと思う。
あまり群れてる感じを出すのは好きじゃない。
「俺、教室戻ろうかな」
仁も同じ考えなのか、不意の一言を発する。
ちょっと待て。今戻られたら私は色んな意味で居たたまれない。
「もう少し話そうよ」
「えー……いいじゃん。青春病くんと話せば」
それが困るんだってば。気だるいのは分かるんだけど……
「青春病って何ですか?」
突然、ずいっと私と仁の間に割り込んでくるのは青春病くん。いや、湊。
わざわざ狭いのに間に割り込んでこなくてもいいよね。
「――飴、食べる?」
少し動揺してるのが自分でも分かった。
悟られないように、精一杯落ち着いた様子を作る。仁を見ればじぃっとこちらを見ていた。
感づいているんだろうな。それでも、平静を装いながら話を続行したのだった。