モテる弟をもつ双子の姉の地味子の物語





「じゃあな冬樹!」

健二は学校終了の予鈴がなると同時に教室を飛び出した。

「健二?」

冬樹が不思議そうに呼び止めたが、彼には聞こえていなかった。

慌てた様子で生徒玄関へと向かい、靴を履きかえていると

誰かに呼び止められた。

「待って!」

「・・・佐々木、さん。」

「今更何よ。理子でいいわよ、健二。」

「あ、うん。・・・何か用?俺急いでるんだ。」

「遥君の家に行くんでしょ?あたしも行くわ。」

今日、二人とも学校休みだったんでしょ?と理子は言う。

「そうだけど、お前、また余計なことするつもりじゃないだろーな。」

「失礼ね。もうしないわよ・・・あたし、遥君の事はあきらめたし。」

「え?マジで?」

「うん。

良く考え直して、あたしすべてが間違ってたことに気づいたの。

だから海と遥君に直接謝りたいのよ。」

謝って許してくれるわけないと思うけど、と悲しそうに笑った。

「きっと、許してくれるだろ。」

「・・・だと、いいな。」

今までごめんね。と儚げに言う理子を見て、

健二は素直に 可愛いな と思った。


「それにあたし、ほかに好きな人できたし?」

「は!?誰?」

靴を履き替え、健二の一歩前を歩く。


「・・・わざわざ言わせる気?」

ばっと理子は振り向いた。


「もしかして、」

大きく目を見開く。

「あたしの素を見て好きだなんて言ってきた奴、

アンタ以外いないわよ。

・・・ちゃんと、責任とってよね。」


「っ・・・もちろん!」


健二は笑った。







< 172 / 206 >

この作品をシェア

pagetop