モテる弟をもつ双子の姉の地味子の物語






ぼふん、

「疲れた・・・。」

「平日なのに、お客さん沢山いたね。」

遥はベッドに倒れこむ。

朝からずっと立ちっぱなしで仕事をしていた二人はヘトヘトだった。



「双子ー、今日の分。」

ノックもなしに扉を開けてきた沢田は二人に向かって封筒を投げつける。

給料は日払いらしい。

「あ、ありがとうございます。」

「今日くらいの客でへばってちゃ祭り当日は無理だろうな。」

沢田は意地の悪い笑顔を向ける。

「俺は全然余裕ですけど。」

「へえー、ま、頑張れよ。

つか、飯。下降りて来い。」

「え?いいんですか?」

「まかないだよ。今日余った材料で適当に作った。

量が多いから食べろ。」

素直じゃないな、と思いつつも二人は一階へ向かった。

リビングには3人分の夕飯が並んでいる。

沢田は何も言わずに座ると食べ始める。

それに続いて二人も席についた。

「いただきます。」「・・・いただきます。」

遠慮がちに箸を持ち、料理を口に運ぶ。



「沢田さんは、一人暮らしなんですか?」

「ああ。」

「独身なんですか?」

海の問いに、沢田は顔をあげて彼女を睨んだ。

「別居中。」

「そ、そうですか。」

深入りはしないほうがいいと感じた海は口を慎む。


「お前らこそ、祖母の家に来たとか嘘ついて大丈夫なのか?」

「っゴホ、げふっ、」

「は、遥、大丈夫?」

むせた遥の背中をすかさず摩り、海は慌てる。

「き、気づいてたんですか!?」

遥は海にさすられながら、沢田に言った。

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