モテる弟をもつ双子の姉の地味子の物語

「なら、筧さんもどうかな?」

「「は?」」

まさかの展開に遥と健二の声が被った。

「ちょ、お前、冬樹?何言っちゃってんの?地味子なんか誘って、

まじヤメロっつーか、イケメンだからってなんでも許されると思ってる?」


「遥はゲーセン行きたい。俺は筧さんと話したい。

なら、連れてけばいいじゃん?」

さも当たり前のように言う冬樹に遥は呆れてしまう。

まわりの女子の悲鳴に近い声を気にせず、 で、どう? と海に声をかけた。


「わ、私は・・・」

遥はもうあきらめ半分だ。

すべて海次第だと覚悟を決める。


「調子んのってんじゃねーよブス」

海の髪を切った斉藤が、暴言を吐いた。


「お前みたいなやつが、冬樹君に気に入られるわけないだろ。

ブース、死ねよ。なんでお前なんだよ、しーね!しーね!」

斉藤が死ねコールを始めた。

それに煽られて海を嫌っている生徒達が しーね!しーね! と口々に言い始める。


「あー、みんな、そういうこと言っちゃ可哀想だろう?」

冬樹は口ではそういうが、表情は誰が見てもわかるくらいに笑顔だった。


「冬樹、お前・・・。」

「何?遥。俺は筧さんと話がしたいっていっただけだよ?」


しーね!しーね!しーね!


うるさいくらいの声がクラス全員を団結させる。

担任はこういう時にかぎって来るのが遅い。

健二までもが悪ノリし、 死ね と叫び始めた。


海は目を見開いて、絶句している。


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