モテる弟をもつ双子の姉の地味子の物語
やはり、顔をしっかり出せばよく似ていて、
誰が見ても双子だとわかるだろう。
「お母さん、驚くかな?」
「驚くだろ、きっと。」
遥は笑った。
家についたのは夜7時だった。
いつもより少し帰りが遅いと心配していた母親は、
ただいま という声が聞こえた瞬間リビングから出てきた。
「お帰りなさい、二人とも・・・あら、あなた・・・海?」
「う、うん!」
「あらあらあらあら!!やっぱり海ちゃんは可愛いわね~!
今のほうが似合ってるわよ!」
海を見るなり母親が彼女を抱きしめて褒める。
「遥君が、美容室に連れてってくれたの。」
「あら、遥が?」
いったいどういう風の吹き回し?と母親が遥を見た。
「別に、なんだっていいだろ。」
「いつも海と登下校時間ずらしてたアンタが、珍しいわね。
それに今日も一緒に帰ってきたし。」
「関係ねーだろ、それより腹減った。」
遥は先にリビングへと向かった。
「海、学校でいったい何があったの?」
「遥君が庇ってくれたの。」
「え?」
「お母さん、私イジメられてたの。けど、遥君が私を助けてくれて、
変えてくれたのよ。」
いつものようにどもっていない、はっきりした声で海は言った。
娘の成長に母親は素直に喜び、
あとで遥も抱きしめてあげなくちゃ!と気合を入れていた。