シュークリーム
部屋を出て行く村上君の姿が、やけにスローモーションに映る。


だけど、私はただ彼の背中を見つめるだけで、体を動かすことが出来ない。


村上君に自分の気持ちを告げてしまえば、気まずくなってしまう。


今までみたいに、ムキになって仕事のことを語り合ったり、ビールを飲みながら笑い合ったり……。


そんな楽しかった日々は、きっともう来ない。


それに本当は、私なんかが村上君のことを好きだって知られてしまったら周りにどう思われてしまうんだろう、っていう不安もあったんだ……。


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