十人十色~君の声を聞かせて~








唇が離れたときに、わたしはいった。












「今から……わたしを抱いてよ、俊正……」














「…………ん……」

































今だけは、あなたはわたしのもの。








それ以外はわたしのものじゃないけれど。





それでもいいの。










あなたが裏切り者でも、今だけはわたしだけを見ていてくれるでしょ?
























わたしの左の薬指にぴったりの、イチゴの指輪が虚しく光った。












【完】





< 38 / 116 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop