十人十色~君の声を聞かせて~
「……そういえばホームレスくんはなんて名前なの?」
わたしはハンバーグを頬張りながら気になっていたことを聞いてみた。
「……俺の名前……」
また眉間にシワを寄せるホームレスくんを見て、まずいことだったかなーとちょっと反省する。
「……あの……なんか、ゴメン」
「いや、いい。風呂と飯のお礼」
ホームレスくんは話し始める。
「俺は物心ついたときから捨てられていた。だから親もわからないし、名前もない」
「…………」
ちょっと寂しそうな表情のホームレスくんを見て、わたしは胸がズキッてなった。