水色王子とピンク姫


「うん。ばいちゃー」


立ち上がってドアの所に差し掛かると長谷川君に呼び止められた。


「春香ちゃん!」


え?春香ちゃん?


「…って呼んでいい?」


「うん。いいよ」


フツーの男子には苗字だからなんか照れる。


「これ、俺のケー番」


そう言って長谷川君は紙切れを渡した。


「いつでも電話して」


「…うん」


照れを隠すように長谷川君はそそくさと自分の教室に入っていった。


雪佳の言う通り、長谷川君はいい人だ。モテるのも分かる気がする。


そんな人に、好きって思われてるあたしって、相当幸せ者じゃない?


告白、前向きな方向で考えてみよう。


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