<<side続編>>双子とあたし。
昂太が走ってくるのを悠太は足を使って転ばせた。
「俺も助けろ」
無様にこけた昂太は顔を上げてどや顔を繰り出した。
「へっ!悠太を助けても何にも得はないが、薫さんを助けたらありがたい謝礼の言葉を頂けるだろ?」
「確かに理に適ってはいるが、どや顔をする意味ないだろ。お前、使い方間違ってるぞ」
「うっせ!」
そんなやりとりを見て薫はクスクスと笑う。
「あ、薫!今俺とこいつが同レベルだと思っただろ」
「うわ〜。薫さんの微笑み素敵だな〜」
「お前はそういう目で薫を見るな!」
「痛っ!」
悠太は昂太の頭にげんこつを入れた。
その音は薫の耳にもしかと届いた。
余程痛かったのか、昂太は涙目になりながら頭をおさえる。
「な、殴ることないじゃん!」
「俺だけの薫だ。変な虫が寄り付かないように見張ってんだよ」
「うわっ、独占宣言でちゃったよ…。つか、俺虫ですか」
しょんぼりとしてしまった昂太に何か声をかけなければと思って口を開きかけた薫の両肩に、人の温もりを感じた。
「じゃあ、悠太くん。これは許せないんじゃないかなー?」
気が付くと、いつの間にか薫の背後にまわっていた慎司が顔を寄せていた。
薫はそういった類に悠太でさえ慣れてないので、もちろん赤面。
「し〜ん〜じ〜…」