HELLO
「カギ、ポストん中に入れてくれればええから」

「わかった」

「じゃ、片桐とちゃんと話しあってな」

そう言うと、親太朗はドアを閉めた。

そのとたんに部屋が静かになった。

「さて」

リビングに行くと、ベランダの窓に手をかけた。

窓を開けた瞬間、朝の冷たい空気が入ってきた。

「もうすぐ夏か」

照りつける太陽を感じながら、私は呟いた。

「そうだ、休むことを連絡しなくっちゃ」

本当は祐二の家に戻って出勤した方がいいだろうけど、昨日の今日だ。

それに祐二はもう仕事に行っちゃっているかも知れない。

合鍵があることはあるんだけど、昨日はそれどころじゃなくて持って行くのを忘れてしまった。
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