☆ハイローハート
「そういえば、理一に言おうと思ってた事があるからちょうど良かったよ」

あこがそう言うから、俺はとよきの顔を見て「な?」と笑った

「何が“な?”だよ……」

と、とよきは面白くなさそう


「こないださやかに会ったじゃん
あれ……何?
めっちゃ探りいれられた感あるんですけど」

「え?探り??」

「あんたさやかに何て言ったのよ」

「何も言ってない」

「……いや、さやかが興奮して階段から落ちた時、何て言ったの??」

「好きな子が出来たから別れたいって」

「うわ、直球……
その好きな子がモロだって気付いてるんじゃないの~?」

「……そうか?
でも、俺がみさきと遊んでたこととか一切向こうは知らないぞ?」

「男ってそういうの鈍感だよね……
遊んでたことを知ってるか知らないかっていうより、モロの名前出した時のアタシ達の反応とか、理一の反応を見てるんだって」


……俺、どんな反応したっけ


唖然としていると、あこは猫用ブラシを持ってとよきの近くに座りカブをキレイにとかしていく

……安心しきって身を委ねているカブは目を細めて、たまに体をくすぐったそうにピクピク動かしている


「俺どうしよう」

「どうしようじゃなくて、どうしたいの?」


どうしたい……

そりゃ……

……今日の午後に浸った思い出をまた呼び起こしてしまった


俺のして欲しい事、みさきに全部してもらいたい


「みさきと……したい」


と言った瞬間、近くにあったお盆で手加減無しに肩をぶっ叩かれて

誰よりも、カブが一番驚いて飛び起きた


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