seen you【短編】
「・・・蜜」
何度もいない相手の名前を呼ぶ私がかわいそうに思えたのか、達徳は私に向き直った。
「少しだけ、俺の話を聞いて」
達徳は、言いづらそうに言葉を選んだ。
俺らが入学した時、やけに先生たちがバタバタしてると思わなかったか?パトカーまで来て何事かと思ったが、入学式はちゃんと例年通り行われた。
それから半年、3年の中でそのことのついて噂されるようになった。
いくつかあったそうだが、有力説があった。
・・・あれ、怪談のもとになった事故を処理してたんだ。
この屋上で、一人の男子生徒が死んだ。
当時高3、名前は大瀬 萩(オオセ シュウ)。人見知りしない優しい性格で、人気者だったそうだ。
警察は彼の死を自殺だと処理した。
でも違った。
複数の男子生徒が仕組んだ、ただの悪戯だったんだ。