コスミックダスト-戦塵の宮殿
「オバサン、子供いるの?」

オレは何気なくオバサンに尋ねた。

「はい。5人も」

「旦那サンは宮殿の人?」

「国王軍の少佐でございます」

「幸せ?」

「はい。勿論ですとも」

オバサンは顔じゅう口だらけにして笑った。

このオバサンは国王のことをどう思っているのだろう。

哀れなメイドがいることを知っているのだろうか。

オバサンは手際よく配膳して出て行った。

何も知らなければ、宮殿はパラダイスなのかも知れない。
いつだったかサムトが言っていたように、宮殿は国民たちの憧れなのかも知れない。

何も知らなければ。

そう。

へたに透視能力などなければ。

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