コスミックダスト-戦塵の宮殿
「猟。力になってくれるか? オレを守ってくれるか?」

「須原サンを守るなんて・・・」

須原サンは喧嘩が強い。
オレがどんな汚い手を使っても、須原サンには絶対に勝てない。
オレがこの世で、唯一、オレより強い男、と認めた男である。
そんな須原サンのことをオレに守ることができるのだろうか。 

須原サンがオレの手をグッと握り締めた。
力が湧いて来るようだった。

オレは思わず頷いた。
何度も何度も頷いた。
頷くしかなかった。

今まで須原サンにはいつも力でねじ伏せられてきた。
だが今の須原サンの顔には脅えさえ感じる。

「オレが、クライシスが、須原サンを守ってみせます!」

引退宣言したばかりのオレの、堂々たる矛盾だ。
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