コスミックダスト-戦塵の宮殿
オレは幽霊の存在を信じている。
周囲には 「幽霊を見たことがある」 とよく豪語しているオレだが、実際は気配を感じることはあっても、ハッキリと見たことはない。
幽霊にだけは会いたくないと、常日ごろから思っていた。

「夜中に、そんな冗談言うなよ。洒落にならん」

「本当だもん。猟のお母さん、成仏できていないのかも知れないよ」

「オレのお袋?」

「白いワンピース。ロングの黒髪。綺麗な人だね。それから」

「やめろ」

「見てごらんよ猟も。お母さんかどうか確認したほうがいいよ」

「うるせえ」

とは言え、見てごらん、と言われたら見てみたくなるのが好奇心というやつだ。

恐る恐る布団から顔を出した。

「あはは。嘘だぴょ~ん」

「バ、バッカヤロ~ッ!!!」 

烈火のごとく怒る。とはこのことかも知れない。

「人をおちょくるのも大概にせい!」

「目、覚めたでしょ? 遊ぼ」

「やかましい」

まったくコイツは、無神経にも程がある。

だが、無神経な冗談を言っているわりに、ミドリの顔は冷めていた。

そして、窓の閉まっているカーテンが少しだけ、揺れた。
・・・ような気がした。
気のせいだろうか。

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