コスミックダスト-戦塵の宮殿
「しかし見かけねえ顔やな。転校生か?」

2年生ともなれば顔ぐらいは大抵みんな知っている。
大して大きな学校ではない。
だけどコイツは初顔だ。

「かも知れない」

「かも? 自分が転校生なのかどうか知らんのかいな?」

「オレは知っている。知らないのは君でしょ?」

「そやから聞いてんのやドアホ!」

「ドアホ・・・そんな言葉、オレの辞書には載っていなかったぞ」

ミドリはブツブツと呟きながら辞書を開いた。
オレはそんなミドリを不思議そうに眺めた。
始業式から辞書を持って登校する男、というのはかなり変わっているような気がする。

「みつめるな、恥ずかしい」

ミドリが真顔で言った。
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