コスミックダスト-戦塵の宮殿
まるで凶器のような風だった。
風が顔に突き刺さるような感覚だ。
この気温の中、バイクでの移動は自殺行為に近かった、と今さら後悔しても遅い。
「宮殿に着いたらまずどうしますか?」
「まずミドリと会う」
「会わせてくれるでしょうか?」
「無理にでも会う! ここまで来て引き下がれるか!」
国境を越えた途端に瓦礫の山が消え、暫くのどかな農村が続いた。
田畑を囲むように森林が広がり、その森林を抜けると宮殿である。
氷点下の厳しい気候だというのに、森林の樹木は何故か青々としていた。
不気味な光景だった。
森林の出口でバイクを止めた。
そろそろ日が暮れようとしていた。
持参して来たコーラの缶を開け、オレは宮殿に目を向けた。
数百メートル先に聳え立つ大きな城。
そして、イギリスかギリシャの兵隊を思わせる警備兵が等間隔に立っている。
此処からは確認できないが、恐らくヤツらは銃を携帯しているのだろう。
「平民が宮殿に近付いただけで殺される、なんて法律、まさか、ないよな?」
「はい。一応、ありませんけど」
曖昧な返事だ。
怖い。
オレは飲み干したコーラの缶を片手で握り潰し、静かに敵地に降り立った。
と。
背中に感じる嫌な殺気。
風が顔に突き刺さるような感覚だ。
この気温の中、バイクでの移動は自殺行為に近かった、と今さら後悔しても遅い。
「宮殿に着いたらまずどうしますか?」
「まずミドリと会う」
「会わせてくれるでしょうか?」
「無理にでも会う! ここまで来て引き下がれるか!」
国境を越えた途端に瓦礫の山が消え、暫くのどかな農村が続いた。
田畑を囲むように森林が広がり、その森林を抜けると宮殿である。
氷点下の厳しい気候だというのに、森林の樹木は何故か青々としていた。
不気味な光景だった。
森林の出口でバイクを止めた。
そろそろ日が暮れようとしていた。
持参して来たコーラの缶を開け、オレは宮殿に目を向けた。
数百メートル先に聳え立つ大きな城。
そして、イギリスかギリシャの兵隊を思わせる警備兵が等間隔に立っている。
此処からは確認できないが、恐らくヤツらは銃を携帯しているのだろう。
「平民が宮殿に近付いただけで殺される、なんて法律、まさか、ないよな?」
「はい。一応、ありませんけど」
曖昧な返事だ。
怖い。
オレは飲み干したコーラの缶を片手で握り潰し、静かに敵地に降り立った。
と。
背中に感じる嫌な殺気。