コスミックダスト-戦塵の宮殿
新学期最初のホームルームが終わり、オレは自転車置き場に来た。
1年の時からいつも帰るのは1番だ。
部活で汗を流すことなんて有り得ないし、いつまでも友達と喋っているのもウザい。
って言うか、学校には「友達」と呼べる人間がいない。

オレには両親がいない。
そのせいでガキの頃はよくいじめられた。
いじめられるのがイヤだった。
だから喧嘩を覚えた。
喧嘩が強ければ誰もオレをいじめたりしない。

そして腕を見込んで声を掛けてくれたのが暴走族の総長だった。

だから学校に友達なんて必要ない。

オレは自転車のカゴにカバンを放り込み、びっしりと並んだ自転車の列から自分の自転車を引っ張り出した。
だがハンドルが引っ掛かってなかなか出せない。
1番のりはコレが難点でもある。
無理に引っ張り出して将棋倒しにでもなったら面倒だ。
オレは暴走族でありながら、将棋倒しになった自転車を放置して帰るほど薄情な男ではない。

< 8 / 203 >

この作品をシェア

pagetop