あんたとあたし。
FOUR









 

 


「ねぇ、あんたら、甲子園出んの?」




 練習も終わった二人だけの帰り道。


 夏休みが始まって一週間。

 少しずつ、少しずつ、マネージャーに慣れてきた。




「お前さ。」


「何?」


「馬鹿?」


「失礼なっ!」



 こんな会話が、橘龍と当たり前になってる。

 ・・・ありえないよね。


 なぜか。

 なんでか、「ありえない」、そう思う自分がいた。

 それはきっと、変に龍と壁を作ってたから。


 お互いが。


 慣れって、怖いもので。


 こうして話さないと、逆に、変な感じになってしまう。


 …本当に怖い。



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