‐hide‐ハイド

理由は前方に見える人の群れ。


尋常じゃないくらいの人がひしめき合っている。





…きっとあそこにクラス表があるんだろぉな…。





「うわ~すごいひとね!!汐、頑張って!」



「…うん。じゃあ行ってきます」




あまりの人の多さに感嘆をもらし、エールを送ってくれる母親に力無く返事をかえすと、その足で人の群れへ歩んでいく。


そして人の群れの前までくると意を決してその中に飛び込んだ。





「っんむ~!!見えなっ…」




私は揉まれすぎて髪型も制服も、何もかもがぐちゃぐちゃになりながらやっとクラス表の下に潜り込んだ。



直ぐに自分の名前を探す。




…あ、3組だ。





松江(マツエ) 汐、3組の表には私の名前がしっかり書かれていた。

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