月の下でキスと罰を。
夜遅い時間。
あたしが居る4畳半の工房は、少しの明かりがあちこちに反射してるようで、ぼうっとオレンジ色や赤に照らされる。人形になる途中の白い手足や顔、目玉も光っている。
「君は、抱かれていても月ばかり見ている」
これは小田桐の声。
「……月が、好きだから」
「そうか」
「月はね、人形だけど……きっと僕をひとりにしない」
衣擦れの音、低く鳴る歌声。暗闇は行いを隠す。
二人の影は重なって、それをあたしは静かに見ている。
「あの夏の終わり」
瀬良が話し出す。
「死んだ女、カヨっていうんだ。側に居て欲しかったけど……失敗したんだ」
「失敗?」
ひとつになった影から、二人の声。
「壊してしまって」
「……そうか」