月の下でキスと罰を。
**
*
鍵穴に鍵が差し込まれる音。瀬良が帰ってきたみたいだ。
引きこもって一人きりで家に居るより、やはり誰かと会ったほうが楽しいらしくて、顔が柔らかくなる。
ゆっくりとした足取りで、工房に瀬良は入ってきた。コホンコホンと、また小さく乾いた咳をしている。
「……」
作業台に、鍵を置いた。瀬良は暗い表情で、あたしを見た。
見つめたまま、家を出る前にしたみたいに、また立ちつくしていた。美しい顔は、凍り付いたように悲しそう。
「僕は、罰が当たったみたいだ、月」
やっと開いた口からは、そういう言葉。あたしに向かって。
しばらくの間、立ったままでじっとしていた。
呼吸の音だけが聞こえる。
作業台の上にある、時間を表示するもの。長い針と短い針が上に向かって重なっていた。