月の下でキスと罰を。

 瀬良はあたしを抱き上げると、自分の胸へと両腕で包み込んだ。胸は静かに上下している。


「罰が、当たった」

 そのまま、瀬良は床に座り込む。あたしの足にも、床が当たった。


 どうしたの瀬良。何かあったの。問いかけてはみるけれどあたしの声は聞こえてはいない。

 小田桐を嫌いになったの? お別れしたの?


「こうして抱きしめて、僕の愛が伝わる? 月」

 瀬良はあたしを抱きしめたまま、堅い床に寝転がる。そして窓からは青白い月が見えた。


「もうすぐ、君を抱きしめることもできなくなる」


 満月だった。

 月明かりに降る雪。

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